ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
でも、自分の手で彼女達をそうさせてあげられなかったことを
「・・・ありがとうございます。先生の、日詠先生のおかげです・・・」
彼女のその言葉によって痛感した俺。
彼女に、ありがとうと言って貰えるだけのことを自分がしたという手応えなんか全然ない
『もしキミが良ければ今からでも・・・その・・・役に立ちたいな・・と思っているんだけど・・・』
「いえ・・・さっきも・・・さっきも申し上げましたが、充分色々と手を尽くして頂いて、ホント感謝してます。」
そういう手応えがない分、これからは自分が彼女達を支えたいという想いのせいで一方的に提案をした。
ところが彼女にはその提案が単なる社交辞令みたいに受け止められてしまっているらしい。
社交辞令で俺の決意が流されてしまうのは本望じゃない
『だから、その・・・ベビー・・・祐希クンが退院したら・・・俺とキミと祐希クンの3人で一緒に暮らしてみるのはどうかな・・・って・・・』
だから、俺が役に立ちたいと思っていることを具体的に伝えた。
たどたどしい言葉遣いだったけど、それでもちゃんと具体的に伝えられた。
『伶菜?・・・伶菜?・・・・おい、大丈夫か?!』
けれども、俺のそのお節介と言っていいかもしれないその提案を聞いた伶菜は、看病の疲れなのか、それとも今の俺のお節介な提案を聞かされたせいなのか、呆然とした表情を浮かべてから間もなくして気を失ってしまった。
珍しく自分の想いとやらを言葉にしたけれど、どうやら俺は肩透かしを食ったらしい。