ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
Reina's eye ケース20:出せない答え



【Reina's eye ケース20:出せない答え 】




「藤原和美さん~。藤原さ~ん。点滴を行いますので3番のベッドにお越し下さい。」

遠くの方から聞こえる女の人のアナウンスらしき声。

どうやら眠っていたらしい私。
目を開けると、真っ先に視界に視界に入ってきた白い天井らしきものに驚き、慌てて身体を起こす。


「おっ、気がついたか?」

今度は聞き覚えのある声。

日詠先生?!
東京じゃなく名古屋の?



『私、どうしてここに?』

私は自分の右腕に繋がれている点滴を見つめながら呟いた。


「集中治療室の待合室で倒れたんだ。祐希クンのことで疲れていたみたいだな。貧血も続いているみたいだし。それに・・」

日詠先生は丸椅子に腰かけたまま背中を丸め、心配そうな顔で私を覗き込んだ。


普段から色々な人に注目されている日詠先生にそんな顔で覗き込まれると
私、余計に気が遠くなりそう


『それに・・?』

彼の言動に対して動揺してしまった私はそれを隠すために、彼の言葉を続きを急かした。


「俺があんなコトを言って驚かせてしまったみたいだし・・・ゴメンな。」



あんなコトって・・・?

えっと、祐希が手術から無事に還って来て
集中治療室にいる祐希の顔を見た後に待合室に戻ってきたら、
名古屋の日詠先生が腰掛けたまま眠っていて

先生が目を覚ました、いや、瞑想していて戻って来た私に気がついて
お礼を言ったら、”ゴメンな”って謝られて

そして
”一緒に暮らしてみるのはどう?” って言われたんだ・・・

その後、覚えていないというコトは
私、その問いかけに何にも返事してない―――――?!


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