ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



「で、お前は一緒に暮らそう・・なんて言ったわけだ。」

『ええ、まあ、そういうことになりますね。』

「それだけでなく、なんでそんな提案をしたかを聴かれて、”大切な人だから” って答えたわけだ。」

『・・・他人から聴くと、結構恥ずかしいこと、口にしてますよね、俺。』

「・・・・・・・・」


沈黙=肯定
そう捉えた俺は、自分の言動がいかにあり得ないものだったかを改めて痛感した。


「恥ずかしくなんてないさ。」

『・・・・・・・?』

「それはお前の本心なんだろ?」


いつもは容赦なく俺にダメ出しをする入江さんなのに、ダメ出しどころか、俺の考えを認めてくれるような彼の応えに俺のほうが驚いた。


『ええ。口パクしたりして、本人に面と向かって言えなかったんですけどね。』

「口パクとか中途半端だな。それにしても凄いな、伶菜さんは。」

『・・・・・・?』

「お前をこんなにも色ボケ状態にするとか、今までの付き合ったことのある女性にはなかったことだろ?」

『色ボケね・・・』

俺の今の状況を面白がっているように思えるのは気にせいだろうか?




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