ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



「日詠先生は男の人だから、女の人の気持ちを上手に汲み取りきれないところもあるだろうから・・・だから、その看護師さんに伶菜をフォローさせてたんじゃないかな?そこまで考えてる医者ってそうそういるもんじゃないと思うけど。」

『・・そう、かな?』

「私も実際に日詠先生に会っているからわかる。あの人はアンタのこと、考えてるよ。ベビー靴探しの必死さからもよくわかるわ。」

『確かに・・・』

「だから、信じてみてもいいんじゃない?神の手を持つと言われる男のコトを・・・・・アンタ、神様に試されてるんだよ。人を再び信じられるかどうかを・・・・」

『人を再び、信じる・・・・・』

私は真里の言葉を口にしながら頭の中でそれを反芻(はんすう)する。



「そ!勇気がいることだと思うけど、トライしてみて、それでも、もし、同じように伶菜がツライ想いをしたら、このあたしがちゃんと支えてあげるから・・・・」

『真里・・・』

「伶菜はひとりじゃないんだよ・・・何度でもちゃんと支えてあげるから・・・・転んじゃったらまた起き上がればいいじゃない・・・何度でも何度でも。」

真里は私を諭すように力強くそう語りかけてくれた。


そういえば
私が自ら命を絶とうとした時も
日詠先生は ”お前のお腹の中の子とお前を、何度でも、なんとしてでも救うから……”って
そう言ってくれた
今の真里のように力強く

私はその言葉があったから、死ぬのをやめてもう一度生きてみようと思った


だから祐希が産まれてきてくれて
祐希と一緒に彼の心臓の手術を乗り越えることができて
ひとりぼっちだと思って死のうとした私にかけがえのない家族ができたんだ

真里は
私が人を再び信じられるかどうか神様に試されてるって言ってたけれど
私は既に日詠先生のあの言葉があったから、ここまでやってこれたんだ

だから、”一緒に暮らしてみるのはどう?” という日詠先生からのサプライズな提案は
私が再び人を信じられるかどうか神様に試されているのではなく
日詠先生のその言葉を信じて前に進む努力をした私への
神様からのご褒美なのかもしれない

そうだとしたら、私はもう一度日詠先生のコトを信じて、彼の厚意に寄り掛かってみてもいいのかな?



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