ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
Hiei's eye カルテ21:守秘義務のギリギリな駆け引き


【Hiei's eye カルテ21:守秘義務のギリギリな駆け引き】



伶菜の息子が手術を受けた東京医科薬科大学病院へ見舞いに行った帰り道。
眠気が我慢できずに立ち寄った富士川サービスエリアで入江さんと長電話をしてしまったものの、なんとか午前1時の出勤時間に間に合った。


東京で直接、伶菜の顔を見る前。
伶菜も頑張っているだろうから、自分もしっかりしないと・・とガムシャラに仕事していた。

けれども、伶菜に会った今は違う。

伶菜も頑張っているだろうからの 《だろう》という推測が消えた今、
仕事にも無理なく集中できている。

休憩時間には、伶菜達は今頃、どうしているかなと思ったりはするけれど。



「日詠くん、東京医科薬科大学からのメール見た?」

そういえば、前もこういうことあった
ずっと待っていたメール受信を奥野さんから知らされたこと


『もちろん。』


その時はメールを未確認状態だったが、今回はきっちりと確認済み
だから、あの時のようなモヤモヤ感はなしだ



「伶菜ちゃん親子、とうとう退院だってね。」

『ええ、おかげ様で。』

「おかげ様ですかぁ。少しは吹っ切れたみたいね。伶菜ちゃん達を東京まで行かせたこと。」

『・・・ウチじゃ、力不足でしたから。』

「仕方ないわよ。東京医薬大のキャパシティーは日本一だもん。しかも、国立だし。ウチは規模は大きいとはいえ、民間病院でしかないわけだから。」


奥野さんの言う通り、
東京医科薬科大学という超一流大学だったから、祐希君の分娩から難しい手術や治療ができたんだ
俺ができなかったことを悔やむよりも現実を受け入れ、自分ができることをすればいい
これからなんだ
そう思えるようになったのも、

伶菜と祐希君
彼女達の頑張りがあったから・・・・



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