ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
Reina's eye ケース24:兄が語った過去


【Reina's eye ケース24:兄が語った過去】



海老名サービスエリアで、”一緒に暮らそう” と言われ、”宜しくお願いします” と答えるという濃密な時間を過ごした私達は再び車に乗り込み名古屋へと向かった。


日詠先生の傍にいたいなんて大胆な言葉を口にしてしまった事を思い出した私。
恥ずかしさのあまり、自分から彼に話かけることができず、眠ってしまった祐希の隣で自分も眠ったフリをした。

日詠先生もそんな私に気を遣ってくれたのか、話しかけることなく運転に集中していたようだった。

途中、富士川と浜名湖のサービスエリアで休憩をとり、岡崎あたりで少し渋滞にはまったけれど、そこを抜けると順調に進み、とうとう名古屋高速に入った。

高い場所から名古屋の街を見下ろし、たった2ヶ月いなかっただけなのに懐かしさを感じる
こんな風に名古屋に戻ってくるなんて思ってもいなかったな
ずっと住んでいる街だから、帰って来れたことにほっとする

こうやって私は薄目を開けて久しぶりの名古屋の景色をこっそりと堪能していた。


『あっ、先生・・・。』

「ん?どうした?」

『ウチ、星崎なんです。次の出口で降りて頂けますか?取りあえず今日のところはウチに帰って、明日以降、引越しの荷造りをしようかと思っているので・・・・』

星崎出口2kmの看板を見つけた私は暫くぶりに口を開く。



「星崎で降りる・・・か?引越しの荷造りはしなくても・・・大丈夫だ。」

『えっ?もう1回なんて言ったか、聞きたい・・・』


私は小さな声で呟く日詠先生の言葉が聞き取れなくて、何を言ってくれたのかもう1度言うように促した。


「星崎ね・・・了解!俺の自宅は笠寺だから結構近いよな・・」

日詠先生の自宅がウチから2駅しか離れていない笠寺であることに驚く。


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