ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
「あ~ら、日詠センセ。伶菜ちゃん、いえ高梨さんが丁度子供さんの検診でいらっしゃってて・・・久しぶりだからお話してたんですーってんだ!・・・先生も高梨さんにお会いするの、久しぶりなんでしょ?」
『ああ、いや、その・・・』
後先を考えなかった俺のその行動が福本さんの茶番劇に付き合わされるハメに。
ナースに俺のアドレスをバラすとか脅しにまでかかってきて。
『一緒に、住んでるんですよ。』
「へぇ、病院イチのモテ男の爆弾発言!!!・・・誰と?誰と一緒に住んでるのかな??ナオフミくん?」
俺が伶菜と同居していることを知っているクセに、伶菜の目の前で同居している事実を俺に言わせたいんだな
そうすれば、伶菜が困った時の相談相手になれる
・・・福本さんはそう思っているんだろう
『・・・伶菜ですよ。』
だから茶番劇に付き合った。
そんな経験も初めて。
俺の台詞を耳にして、心配そうにそわそわする伶菜に
こんなことをしている理由を教えてやりたい
伶菜を支えてくれる人がまだまだいっぱいいるということを・・・
そういうきっかけを作ってくれた福本さんには感謝しているが、俺が伶菜に意地悪するとか言ってくれちゃっているのには、正直イラっとする
俺のアドレスを流出をチラつかせたりして
意地悪しているのは福本さんだろ
『・・ったく。』
それに、遅刻厳禁と告げられていた俺に茶番劇をさせて
伶菜まで茶番劇の中に引き摺りこんで、彼女に心配させておいて
それでもって自分はさっさと切り上げて会議に向かおうとするなんて
意地悪すぎだろ?
心配そうな顔の伶菜の心配を解いてやりたいのに
もう会議室に向かってしまった福本さんは今は頼りにならないと天を仰いだ。
でも、なぜか笑い声を上げる伶菜。
福本さんとの茶番劇が笑えたのか?
それとも、俺自身の言動に笑えたのか?