ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
Reina's eye ケース33:ホイップクリームジェラシー?


【Reina's eye ケース33:ホイップクリームジェラシー?】


結局、今後自分が彼の傍にいるのかいないのかを自分自身で決められないままでいた私は、その状況のまま、日詠先生との名古屋駅での待ち合わせ当日を迎えてしまった。

昨日の夜から今日の午前中まで勤務のはずの日詠先生。
おそらくほぼ徹夜状態で集合場所に向かうみたい。
私のほうは午後2時に祐希と一緒にマンションを出て電車で名古屋駅に向かった。

午後3時に待ち合わせなのに午後2時半に待ち合わせ場所に着いてしまった私は、祐希を抱っこしたまま暇つぶしに人間ウオッチングをすることにした。



幸せオーラを振り撒きながら大きなトランクを引っ張って私達の前を通り過ぎる若者のカップル
久しぶりに再会したかのように思いっきり両手を小さく振りながらお互いに近付いていく女性達
デパートの紙袋と大手雑貨屋さんのビニールバックを抱えた親子連れ

土曜日の名古屋駅は平日とは違って多くの笑顔をみることができる。


そんな中、私は浜名湖名産のお菓子の紙袋を手に提げ、きょろきょろしている背の高い男の人の動向がなぜか気になった。



年頃は日詠先生と同じ位かな?

背が高くて、肩幅広くて
なんかスポーツでもやってるのかな?

パッと見、クールな感じでカッコイイ

ん?
でも、日詠先生の方がカッコイイよね?

浜名湖のお菓子を持ってるってコトは
名古屋に住んでる遠距離恋愛の彼女と待ち合わせなのかな?


ヤだ、あたしったら
全然見ず知らずの人のコト、勝手に妄想しちゃったりして

でも、たまにはいいよね
お手軽に現実逃避できちゃう妄想で暇つぶしするのも

ここ数日いろいろありすぎて頭がオーバーヒート気味だしね・・・・



『もうすぐ現れるのかな・・?遠距離恋愛の彼女が・・・・・気になるぅ♪』

「誰の彼女が現れるって??」


ヤだ、聞かれちゃった?
私の怪しい妄想を


『日詠先生!!もう着いたんですか?!』

「ああ。資料作りに必要なデータがまだ手元に届いてないからさっさと切り上げてきた。っていうか、探す手間が省けたな・・・」

そう呟いた日詠先生は涼し気な顔で前方を指差していた。



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