ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
『えっ?』
彼が指差している方向へ素直に顔を向けた私。
すると、さっき、私が人間ウオッチングのターゲットにしていた男の人が
どんどん私達の方へ近付いてきてる!
あれ???
「お久しぶりです。」
えっ?!
「どーも。こうやって会うのはホント久しぶりだね、日詠・・」
知り合い???
『えっ?!日詠先生、知り合い???遠距離恋愛中の彼と・・・』
しまった
私、全然、懲りてない
頭の中で考えていたことをつい口にしてしまう悪い癖がでちゃった
「伶菜、お前・・・どういうコトだ?!」
私のわけのわからない発言に日詠先生まで混乱し始めた。
そんな中、
「キミが、伶菜さんなんだね。初めまして、入江っていいます。」
その人は爽やかな空気を運んできてくれた。
『あっ、は、初めまして!!伶菜です!!あっ、高梨伶菜です。』
「・・・・高梨さん・・・・か。」
ドキドキせずにはいられない私の心臓。
だって、入江さんていうその人
この人だかりの中、目についてしまったぐらい
・・・カッコイイんだから
「初めまして、かよ・・伶菜が入江さんのコト、遠距離恋愛中の彼なんて言うから、もしかして知り合いだったのかと思ったよ・・・」
そう言いながら呆れ顔をのぞかせた日詠先生。
「改めて紹介するよ。こちら俺が学生だった頃のバイト先の先輩でバレーボール友達でもある入江さん。」
「はじめまして。」
うっ、この二人
カッコ良過ぎて、なんか絵になる
周りにいる女の人達の視線を嫌でも感じる
「こんなとこで話してもなんだから、久しぶりにあそこでも行きますか?」
日詠先生が上を指差しながら入江さんに合図する。
「そうだな、ケーキでもご馳走するよ。伶菜さん、行こうか。」
『ありがとうございます、ご馳走になります!』
そして、祐希を抱っこして歩き始めた日詠先生の後ろを入江さんと私は並んでついて行った。
遠巻きに見ている女性達の視線に後ろ髪をひかれながら。