ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
入江さんもそんなコトがあったんだ
多分、入江さんはそのことで長い間、心を傷めていたんだと思う
そして、入江さんが同じような想いをさせたくないと思っている日詠先生のほうはどうなったんだろう?
『・・・・その後、どうなったんですか?』
私は入江さんの言葉の続きを聴かずにはいられなかった。
「だから、その時、”今は守ってやれなくても、これからどんな形でもいいから守ってやろうというモチベーションを持ち続けろ、そしてタイミングを逃すな” とだけ彼に言ったんだ。」
『モチベーション、タイミング・・・』
「そう。その後、今日、再会するまで直接顔を見ることがなかったから実は凄く心配してたんだけど・・・アイツは今、凄くいい顔してるから、タイミングを逃すことなく頑張ったんだな・・・そうだろ?伶菜さん!」
入江さんはなぜか私に同意を求めるような口調で私の瞳の奥をじっと覗き込む。
でも、このまま日詠先生の傍に居続けることが本当にいいのか思い悩んでいる私は
”アイツ、今、いい顔してる” という入江さんの言葉に対して簡単には同意できない。
それよりもむしろ、入江さんになら
日詠先生のコトをきちんと見守ってくれているであろうこの人なら
自分が今後、日詠先生に迷惑をかけないようにするためにはどうしたらいいのかについても的確なアドバイスをくれるような気になっていた。
そんな私は自分の瞳の奥をじっと見つめたままの入江さんの瞳をじっと見つめ返し、そして口を開いた。
『・・・・私、よくわからないんです、日詠先生のコトが。』
「えっ?何かあった?日詠と。」
『あの・・・何て言ったらいいかわからないんですけど・・』
「ん?いいよ。焦らなくて。」
『・・・・ちゃんと大切にしたい人がいるらしいのに、妹である私にこのまま傍に居ればいいと言ったり・・・かと思えば、傍にいるかいないかは私自身が決めればいいとも言ったり、背後から突然抱きしめてきたりとかも・・・』
「・・・・?!」
入江さんは一瞬目を見開いてから、ふ~っとゆっくりと息をついた。
「日詠はやっぱり不器用なんだな・・・キミにそんな想いをさせてしまってるなんてな・・・」