ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
Hiei's eye カルテ35:エスケープドクター


【Hiei's eye カルテ35:エスケープドクター】




入江さんや伶菜達と過ごした賑やかで楽しかった土曜日。
その翌日である今日は朝から出勤。

日曜日だから、外来診察もない
救急患者搬送日だけど
日曜日だから外来診察もないからそれほど忙しくない
そう思いながら出勤したが・・・


「日詠先生、ER(救命救急センター)で妊婦さんが運ばれたってお呼びがかかっています。」

『病棟で今すぐ分娩に進みそうな人、いる?』

「今のところ、大丈夫そうです。」

『じゃ、とりあえず行ってくる。』

「日詠先生。」

出勤早々、看護師にERへ行くように声をかけられ、そちらへ向かおうとしていた俺を後輩医師の久保が呼び止めた。


『なんだ?』

「僕がER行きます。」

『でも、ERに運ばれる妊婦さんとかは、重篤な症例が多かったりするぞ。』

「大丈夫です。救急対応を一通り経験しましたし。日詠先生にも確認取りながらやりますから、勉強させて下さい。」


以前、自分はできないと消極的だった久保がやってみたいと言っている
ここでダメだと言ったら、いつまで経ってもその劣等感は拭えないだろう
今のところ、産科病棟は落ち着いているし、何かあったら俺がフォローすればいい


『わかった。不安に思ったりしたら、すぐに俺を呼んでくれ。』

「はい。行ってきます。」

そして、久保はやる気にみなぎった顔でERへ向かった。



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