ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



『日詠先生?!』

「これはどうも、高梨さん。」

『いつもこんな時間に、こんな所で、そんなもの食べてるんですか?』

「ああ。今が唯一、俺がなんにも考えずに休息出来る時間。そんな物ってメロンパンの事か?美味いぞ、コレ。」

日詠先生は一口(かじ)ったメロンパンをまじまじと見つめた。


日詠先生
少し長めの前髪で隠れ気味な切れ長のキレイな瞳
鼻もすっと高くて、顎のラインもシャープ
おまけに背も高くて肩幅も広い

この病院に運ばれた時にはそんな目で彼を見たことなかった

それらだけでなく
仕草とかもスマートで結構格好いいのに
め、メロンパン?!


『お医者さんって、お昼とかでももっと豪華なものを食べてるかと思ってました。5000円位のランチとか。』

「ハハハ。そうでもないよ。病院の食堂にはに5000円のランチ置いてないしな。それに俺の好物・・・・肉屋の店先で作ってる揚げたての牛肉コロッケだし。」


揚げたての牛肉コロッケ?!
ウチの近所のお肉屋さんでは確か1個50円で売っていたような・・・・

日詠先生の好物は
なんて庶民的なんだろう


『ふっ・・・』

日詠先生がお肉屋さんの前で揚げ立ての牛肉コロッケに齧りついてる姿をつい想像してしまい、私は思わず吹き出してしまった。


「俺、吹き出されてしまう位、変か?」

『す、すみません。』

「メロンパンも牛肉コロッケも美味いと思うんだけどな。ここ、座るか?」


日詠先生は照れ臭そうに 頭を掻きながら、私にベンチに腰掛けるように勧めてくれた。

そんな日詠先生の言動に、少し癒され始めてた私。
彼の隣に腰掛けた私は先生のコトをもっと知りたくなった。
入院した時の自分が今の自分を知ったらすごく驚きそうだけど。



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