ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



始まった検査。
更に大きくなっているであろうお腹の中にいる赤ちゃんの姿が白黒の影になって写し出される様子によって自分の置かれた現況を思い知らされる。
自分はこの先、どうしたらいいんだろうという不安感に再び襲われそうな気がして、なんともいえない緊張感に押し潰されそうになっていた。


「ダメそうならまた今度にするけど・・・どう?」


日詠先生はカルテらしきファイルを開きながら私の顔をじっと見つめた。
ちょっぴり心配そうな先生の顔。

なんでかわからないけれど
胸が・・・キュンとした。


『だ、大丈夫・・です。』

頬を真っ赤にして返事を噛んでしまった私を見た日詠先生は不思議そうな顔していたが、しばらくしてにっこりと笑ってくれた。


「じゃ、始めようか。」


照明を落とした暗い部屋の中
日詠先生と2人きり
前も1回この検査やったけれど2人きりな状況を意識したりしなかったのに
このふわふわする感覚
なんなんだろう?

地に足がついてないみたいな
そんな感覚も・・・



「お~い、お腹出してくれる?」

・・・・????



その一言で、私はあっという間に現実に引き戻される。


いけない、ぼーっとしてた
超音波検査なのに、お腹を出さずにいるなんて検査拒否を思われちゃったかな?


日詠先生は笑いを押し殺しながら、カチャカチャとキーボードを打ち、モニターを確認し始めた。


『先生、笑わなくても・・・』

「その様子じゃ、大丈夫だな。」


日詠先生はキーボードを打つ手を止めて、またにっこりと笑った後、再びモニターに目をやった。

モニターの明るい光に照らされ、目をしかめて急に真剣な表情に変化した彼の横顔は
私の胸をまた・・・キュンとさせた。


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