ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
Reina's eye ケース43:甘くアブナイ残り僅かな時間


【Reina's eye ケース43:甘くアブナイ残り僅かな時間 】



日詠先生のお弁当を届けに行った病院で元カレの康大クンに偶然再会してしまった日。
康大クンからの突然のプロポーズによって、日詠先生に甘えてしまっている現状ではいけないことを痛感させられた。

現状を変えていくにはどうしたらいいのか?を自分なりに考えた結果。
日詠先生の完全な妹になりきって、兄である彼のことがスキという想いを振り払い、康大クンと結婚するという未来を考えてみようという私なりの考えを導き出した。

『妹になりきるって・・』

日詠先生の完全な妹になりきると決めたからにはやらなきゃいけないことがある。
それは、彼のコトを “お兄ちゃん” と呼ぶコト。

彼のことを異性として好きだという気持ちにけじめをつけるために
彼のコトを “お兄ちゃん” と呼ぶことにした私。


それぐらいしか思い浮かばない私は、

『おかえりなさい、お・お兄、ちゃん。』

鏡を見ながら、お兄ちゃんと呼ぶ練習をしてみる。
お兄ちゃんと呼んだ声になんとなく力が入らない。
顔も真っ赤。


『お、お、お兄・・・おにいちゃん・・・あ~もう!!!!!』

とてもじゃないけれど、お兄ちゃんと向き合う妹の顔じゃない。


『いけない。こんなことやっていると、帰ってきちゃう。』


夕飯作りそっちのけだったことを想い出す。
日詠先生に病院で会った時は、彼がレバニラを作ってくれるって言ってたけれど、点滴をして楽になったから自分で夕飯を作ることにした。

祐希にリビングでひとりあそびをして貰いながら、冷蔵庫-流し台―ガスレンジ間を休むことなくバタバタする。
あっという間に筑前煮と粉ふきジャガイモ、じゃこと大根のカリカリサラダ、あさりの赤だしの味噌汁を作り上げた。

でも、今晩は日詠先生、
あっ、違う
お兄ちゃんが帰ってくるから(いわし)の梅じそフライも緊急追加!

さっきまでリビングで遊んでいたと思っていた祐希までもキッチンで格闘し続けている私の様子を不思議そうな顔して眺めていた。



カチャカチャ、ガチャ!



とうとう帰って来ちゃった


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