ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
Hiei's eye カルテ46:自分を知った夜


【Hiei's eye カルテ46:自分を知った夜】



「間もなく17時30分から第一会議室で予算運営会議を行いますので、担当職員はお集まり下さい。」

『もうこんな時間か・・・そろそろ行かないとな。』


今日の業務を終え、デスクを片付け始めた俺。
デスク上に置いたままだった生命保険会社の営業マンから渡された保険の見積書。
それを医局の自分のデスクで熟読していた俺は院内放送で、もうすぐ17時半になることに気が付いた。


『伶菜にメール・・しておいたから大丈夫だな。』

本当なら今日は祐希が起きている時間に帰宅できるのだが・・・と溜息をつきながら保険の見積書をデスクの引き出しに片付ける。


『名古屋アーバンオリエンタルホテルって、確か西鶴舞駅近くだったよな?』

そして、デスク下に置いておいた鞄を手にぶら提げて医局を出た。



向かった先は名古屋医大の三宅教授に呼び出されているホテルのレストラン。
そのホテルは地下鉄の西鶴舞駅の間近にあるため、電車と地下鉄を乗り継いで向かうことにした。

地下鉄を西鶴舞駅で降りて、3番出口の階段から地上へ昇る。
腕時計に目をやると、時刻は18時半を少し過ぎていた。

地上を走る車も帰宅ラッシュ真っ只中。
地下鉄に向かう人も会社帰りらしき格好の人や制服姿の学生ばかり。
家路に着く人達の流れに逆らうように約束の場所のホテルへ向かう。


『ちょっと早く着いたけれど、教授を待たせるわけに行かないからな。』

三宅教授よりも先に着いた俺は待ち合わせの場所のレストランに先に入り、ブレンドコーヒーを注文する。



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