ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
Hiei's eye カルテ5:想いの覚醒
【Hiei's eye カルテ5:想いの覚醒】
『今、分娩室で休んでいる堀池さん、血圧モニタリング、続けておいて。』
「何分おきで計測します?」
『10分毎で。吐き気とかあったらすぐ対応するから呼んで欲しい。』
「了解です。」
分娩後、なかなか血圧の下がらない産婦さんをゆっくりと観察する時間がないぐらい分娩が立て込んだ夜。
今日も寝る時間がおそらくないと予想した俺だが
産科医師として忙しく過ごす毎日に充実感すら覚えていた。
それも、伶菜という存在をより身近に感じられる日々を送っていたから。
『まだ陣痛室、いる?』
「今はもういません。入院連絡も今のところないみたいです。」
『そっか。もう12時だし、少し仮眠してきてもいいですか?』
「大丈夫そうです。何かあったらコールします。」
『それじゃ。』
あっさりと解放してくれた助産師に御礼の会釈をした後。
一段落ついた隙に仮眠を取っておかないとさすがに体がもたないと感じた俺は足早に仮眠室に向かう。
その途中、病棟内で唯一灯りがともっているナースステーションの前でぽつりと立つ女性を見つけた。