ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



『えっ?私も?』

事実を知ったのに、お兄ちゃんの一切迷いの見られない態度に動揺を隠せなくて、マヌケな声を上げてしまった私。


私、急に手首を掴まれたことに気を取られていたけれど
さっきのお兄ちゃんは祐希と康大クンが血の繋がりがあっても気持ちは変わらないって言った?


「それはお兄さんのひとりよがりな考えなんじゃないですか?」

康大クンもお兄ちゃんに負けないような険しい表情で問いかける。


「そうかもな・・・」

一瞬、彼から視線を外し、遠くを見つめたお兄ちゃん


「そんなのって、ありえないんじゃないですか?・・・実の父親がいるのに気が進まないっていう理由だけで子供に父親という存在を返してあげないなんて・・・」

「・・・・・・・・」

「それは世間的には決して許されることではないんです!」

そんな彼に康大クンは畳み掛けるようにその言葉を投げかけた。



『・・・・・・・・』



康大クンの言っていることは(もっと)もだと思う

お兄ちゃんは実は私と血は繋がっていないけれど、
祐希にとっては伯父という存在

でも康大クンは確かに祐希の血の繋がっている父親という存在

何も知らない祐希は
今現在、お兄ちゃんのことを父親だと思い込んでいるから
”パー” なんてお兄ちゃんのこと呼んでるけれど

祐希が物心がついた頃に自分の父親として認めるのは
きっと血が繋がっている康大クンだろうから・・・

”康大クンと私が結婚すること”
それが祐希が一番混乱しない最善の方法

お兄ちゃんの傍にいたい
家族という温かい存在、家庭という穏やかな空間を与えてくれた
彼の傍にいたい
正直、今でもそう思う


でも祐希のために
そして私のコトを妹と思っているお兄ちゃんが
私の存在に気兼ねすることなく
一生添い遂げるステキな女性と一緒になって幸せを掴むことができるようにするためにも

“康大クンと私が結婚すること”

それが最善な方法なんだよ
わかって、お兄ちゃん・・・





「許されなくたっていい・・・覚悟はできてるから・・・」




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