ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
Reina's eye ケース6:優しいコトバ


【Reina's eye ケース6:優しいコトバ 】


自ら命を絶とうとしたあの日から2ヶ月。
私の妊娠生活は6ヶ月目に入ろうとしていた。

悪阻はかなり楽になってきて、食事も喉を通るようになってきている。
それでも、相変わらず白い湯気の立つご飯は見るだけでも拒否反応。
そんな白いご飯から目を背けて食べていた昼食中だった。


「白い飯、やっぱり嫌か?」

その声が聞こえて来た方へ振り返ると、私の氏名が書き込まれたファイルを抱えた日詠先生が立っていた。


「今、いいかな?食事中だけど。」

『あっ、ハ、ハイ。』


初めて日詠先生に出会ってから2ヶ月も経つのに
毎日、顔を合わせているのに
私はこの声を聞くと、いちいち動揺する。



「お腹の張り、だいぶ良くなった?」

『ハ、ハイ・・・楽になったです。』


医者と患者の会話をしていても
伶菜・・・と初めて名前で呼ばれ、背中から抱き締められたあの時を想い出して動揺してしまう



「これ、お土産。」


私のそんな状況をきっと知らないであろう日詠先生はいつもの涼し気な表情で、いつもの緑の手術着ではなく、ネクタイ&Yシャツ&白衣姿でぶ厚いファイルに挟んであった白いA4サイズの紙を私に差し出した。


コレがお土産?!
えっ?!・・・・なに?!


相変わらずドキマギしてる私は両手でその紙を受け取りながら慌ててそれに目を通した。

『退院計画書?! 退院してもいいんですか?』


予想していなかった展開が書かれている手元の書類と日詠先生、交互に視線を移す。
丁度ピタリと目が合った彼はベッドに軽く腰掛けてからゆっくりと頷いてくれた。

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