ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



「アナタが自分の口からちゃんとここで全てを話せば、この手を放してあげるわよ。それまでは放さないから。」

その言葉通り、奥野先生は三宅さんの手を放そうとはしなかった。


真里が言った “そこにいる男のせい” の男というのは
康大クンを指していて

奥野先生が言った
“アナタが自分の口からちゃんとここで全てを話せば” のアナタというのは
三宅さんを指している・・・の?


まさか、この二人に接点がある・・・の?



『どういうコト・・・ですか?』

「どういうコトだ?三宅。」




また不意に重なった私とお兄ちゃんの声。


何がなんだかわからずに、とりあえずそう呟いた私とは対照的に
お兄ちゃんの声には珍しく怒りという感情が入り混じっているようにも聞こえた。




「ちゃんと話すわよ・・・だから奥野先輩、手、放してください。」



そう言いながらギロリッと奥野先生を睨みつける三宅さん。

奥野先生も一切怯むことなく睨み返しながら、振り払うように三宅さんの手首から手を放した。



「三宅・・・お前が企んだことなのか?」


これまた珍しく冷たい視線を三宅さんに投げかけているお兄ちゃん。
いつもは他人を問い詰めたりしないお兄ちゃんをここまで豹変させといて、何も言わないわけにはいかない雰囲気。


「・・・・・・そうよ。」

「・・・・・・・・」

「だって、アナタの妹さんが自分からアナタのもとを去ろうとするきっかけがない限り、アナタは彼女を手放そうとはしなかったんでしょ?」

「・・・・・・・・」


何も返事をしないお兄ちゃん。


「日詠クンが悪いのよ!私がいくらアナタにとって条件のいい結婚を迫っても、私のほうに振り向こうとしないんだから・・・」

「・・・・・・・」

そこまで言われてもお兄ちゃんはまだ返事をしない。



「だからこんなコトしたのよ!」






だからこんなコトというのは
私が自らお兄ちゃんのもとを去るきっかけ


もしかして、そのきっかけというのは
康大クンと結婚するというコト・・・なの?




『康大クン・・・・・三宅さんに私と結婚するように頼まれた?それで結婚しようって言ってくれた・・・の?』







ア、、、、ハハハ、、、、ハハハハッ!!!


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