江戸物語 ~雪月花の鬼~
がキィン!!

金属音が街に響いた。

その金属音は…刀が折れた音だった。

雪花は男の刀を真っ二つにへし折ったのだ。

しかも自身の握力で。

男はなす術なく刀から手を離した。

しかし男は諦めず、素手で雪花に襲い掛かった。



























ドサ…。

静かな音で男は倒れた。

勿論のこと一瞬で勝敗はついた。


「雪花ちゃん!!」


其処へ沖田が来た。

しかしもう事は終わっており、
沖田は少し苦い顔をしながら雪花に尋ねる。


「雪花ちゃん、これは?」


「襲い掛かられたので、返り討ちに。」


(予想した通りだ…。)


そう思いながら沖田はため息をついた。

雪花はそんな沖田の事はお構いなしに
女性の目線に合わせ話しかける。


「お怪我はありませんか?」


「は、はい…。」


女性は少し驚きつつも返事をする。


「良かった。」


心から安心したのか、
ふわりと柔らかい笑みをこぼした雪花。

その笑顔はとても美しいもので
助けられた女性は赤面してしまった。


「ッ〜/////」


「あの、顔が赤い様ですが大丈夫ですか?」


そっと女性の頬に手を添える。

言い忘れていたが雪花は美少女で、
どんな表情をしてもとても美しいのだ。

それに短髪なので男と勘違いされても
仕方がないだろう。

しかも自身では気付いていないが天然。

つまり、無意識にイケメンな行動をするのだ。

女性が赤面するのは当たり前と言うか…。


「ふぇ、大丈夫です…/////」


「雪花、帰るよ。」


上から沖田の声が降ってくる。

雪花は女性から手を離し、立ち上がった。


「沖田さんこれの後始末どうしましょう。」

「今日の巡察に任せようか。」

「ですね。」


何故か意気投合している二人。


「それでは失礼します。」


女性に一礼して歩き出す。

しかし女性が雪花の歩みを止める。


「あの、うち、綴流(ツヅル)と申します。
 良かったらうちに来て甘味食べて行きまへんか?」


「甘味…!!」


「沖田さん甘味に釣られないで下さい。
 今度伺わせて貰います。」


それでは、と雪花は沖田を引きずって
新撰組組の屯所へ歩みを進めた。


「絶対来て下さいねー!雪花はーん!!」


雪花は一度だけ振り返って手を振った。

少し微笑んでいたのは秘密だ。






























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