一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
「暁人くん、、?」
心配になって名前を呼ぶとゆっくりと振り返り、いつものように優しく微笑んで答えた。
『紗江さんの服はもう乾かしてあります。昨日は何も食べてませんでしたから、ここを出たらどこかで朝食をとりましょう。』
「うん、そうだね。」
『でもその前にシャワーされますか?』
「あ、うん。でも暁人くんから先に使って?」
『実は早くに目を覚ましてしまって、先に済ませているんです。』
「そうだったんだ。、、じゃあごめんね?少し待っててくれる?直ぐに済ませるから。」
彼にそう伝えると彼を待たせてはいけないと急いでシャワーを浴びた。
シャワーを終えて服を着てから部屋へ戻ると直ぐにホテルを後にした。
その後は近くの喫茶店でモーニングを食べてたわいのない会話を楽しんでからアパートまで送ってくれた。
ホテルでは少し様子がおかしかったのが気がかりだったが、外へ出ると普段通りの優しい穏やかな彼に戻っていてホッとした。
ただ別れ際には不安気な表情を浮かべて両手を握りしめられた。
『紗江さんが俺の恋人になってくれたのは、、夢なんかじゃないですよね?』
「夢なんかじゃないよ。これからは弟の友達としてじゃなくて恋人として宜しくお願いします。」
『っ、、こちらこそ宜しくお願いします。』
そう言葉を交わして笑顔で彼と別れた。