一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
無表情でそう言い放った男性は40代くらいだろうか。
とても冷静な口調で自分が視線を送っていた犯人だと名乗ったのだ。
流石に怖くなって一歩後退りすると、慎一は私とは逆に一歩前へ出た。
「姉に何か御用ですか?理由によっては警察に連れて行かせていただきますが。」
歳上の男性にも臆する事なく冷静に言い放つ慎一。
そんな姿に弟の成長を感じる。
さすがは1児の父だ。
守るものが増えて、弟は更に逞しくなった。
一方、私は恐怖が先行してまともに相手の顔を見ることもままならない。
「勿論、用がなければこんな事しませんよ。こう見えて忙しいので。」
「忙しい奴が取る行動じゃないな。ストーカーなんて暇人のする事だ。」
「仕事の合間をぬって来ているんです。今日もこれから戻って深夜まで働きますよ。、、今、大変な時なので。」
「じゃあなんでこんな事していたのか訳だけ話してさっさと戻って仕事でもしたらどうだ?」
「貴方に言われなくともそうしますよ。貴方のお姉さんとお話がついたらですが。そこを退いていただけますか?」
「は?退く訳ないだろ。」
互いに一歩も引かない掛け合い。