一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》

ようやく彼をキッチンから追い出す事に成功して、腕まくりをして料理に取り掛かった。


最近分かった事だが、彼は煮込み料理が好きだ。






本人は気づいてないかもしれないけど煮込み料理だと箸の進むスピードと白米の食べる量が違う。

昨日の晩に煮込んでおいたので、時間は掛からない。





10分そこらで完成して2人食事を始める。




『美味しいです、紗江さん。』

「本当?良かった。」





彼は必ず〝美味しい〟という言葉をくれる。

それは昔から変わらない。




作る側としてもその言葉は嬉しい。









楽しく会話をしながら食事を終え、手作りのデザートを出した。


これを食べ終わったら彼に話をする。







そう言い聞かせてデザートを運ぶ。



緊張しているのか少しだけ手が震える。

その震えを必死に抑えて笑顔で声を掛ける。







「あ、暁人くん、食器洗いありがと。終わったらデザート食べよっ。昨日ね、プリン作ったの。」




食器を洗いをしてくれていた彼が私の言葉に顔を上げると何故か眉をひそめた。

そして丁度洗い終わったのか手を拭くと、こちらに無言で向かってくる。






『暁人くん、、?』






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