一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》


そう叫んだ言葉に対してようやくこちらに視線を向けた彼だったが、心なしか頬が赤い。


すぐにその顔を手で覆い、小さく呟いた。








『ちゃんと聞いてますよ。でも怒った紗江さんがあまりにも可愛い過ぎて直視出来ません。』

「なっ、、何言ってっ、、!?」

『紗江さんこそ、自覚して下さい。そんな可愛い顔で怒っても男は痛くも痒くもないです。寧ろそんな風に普段とは違う表情を見せられたら男はすぐに落ちますから。』







赤みが落ち着いたのか、覆っていた手を顔から離すと真っ直ぐに射抜くような真剣な目でこちらを見つめてくる。
















『そういう顔、他の男には見せないで下さい。』

「っ、、話をすり替えないで!!確かに私と片瀬君とは昔からよく知ってる間柄だけど、ここではあくまでも〝ただの同僚〟なんだよ?」

『、、、。』





こちらも負けじと真剣な表情で言葉を投げかけると、俯き黙り込んでしまった彼。



暫く沈黙が続いた後、ゆっくりと顔を上げた彼はとても悲しげな表情を浮かべ小さく呟く。










『、、久しぶりに帰ってきた日本の生活にはまだ慣れなくて、ここには知り合いも紗江さんしか居ません。だからつい、紗江さんの姿を見るとホッとして声を掛けてしまっていました。でもそれが紗江さんのご迷惑になっているなら控えます。』



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