一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》


そういうと背を向け、ドアの方へと静かに向かう。

ドアノブに手を掛けた彼は、こちらを振り返らずに今にも消えそうな声で呟いた。











『本当にご迷惑をお掛けして、すみませんでした。もう、、紗江さんには声を掛けないようにしますから。だから安心して下さい。知り合いのいないこの会社で、これから先も俺は独りで生きていきます。』










その言葉を聞いて、彼の置かれている現状をようやく理解した。




大人になった彼だって本当は不安で慣れない生活を送っていたんだと。



中途半端な時期に栄転になった彼には仲のいい同僚はおろか同期だっていない。

、、そんなの心細くて当たり前だ。





そして若くして主任という役職についたプレッシャーの中、顔を覚えてもらおうと必死に得意先に笑顔を振りまいて頑張っている彼を突き放すような事を言ってしまった。



彼がドアノブを回して扉を開けようとした瞬間、彼の方へと駆け寄って勢いよくスーツの裾を掴んだ。
















「っ暁人君も心細かったんだよね!?そんな事にも気づいてあげられなくてごめんねっ、、!プライベートな事はっ、、あれだけど、それ以外の事ならいつでも声かけて?私は暁人君の味方だから!!」



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