心がささやいている
「…で?その天使ちゃんと再会出来て?どうだったのさ」
「は?天使ちゃん??…何それ?」
「は?だって辰臣さん、昔言ってたじゃん。『動物の気持ちが分かる天使みたいな子』だったんだよーって」

颯太は右手の人差し指と親指を立てて鉄砲のような形を作ると、ハテナを飛ばしている辰臣を狙って撃ち抜く真似をした。

「そそそ…そんな恥ずかしいこと僕、言ったかなっ?気のせいじゃないのっ?」
「い・い・ま・し・た」

何故だか今更ながらに恥ずかしくなったのか、わたわたしている目の前の大人を面白そうに眺めると、颯太は「で?どうなのさ」と続きを即した。
辰臣は暫くの間、自分の過去の失態?に悶えていたが、自分が振った話の手前、諦めたのかゆっくりと語り出した。

「あー…うん。やっぱりどこか不思議な人ではあったかな。ランボーが急に走り出したのも、どうやら彼女のことが分かったからみたいなんだ。再会を喜んでいる風だった」
「分かったって…。昔のことを覚えてて走り寄ってったってこと?」
「うん。一目散に彼女の傍まで走ってって、その周りをぐるぐる回ってたんだよ。あの人見知りのランボーがだよ?」
「へぇ」
「で、そんなランボーを見て彼女が言ったんだ。『やっぱり、あの時のコなんだね。大きくなったね』って…」
「ほー」
「凄いだろ?通じ合ってるんだよ、二人とも!」

再び、その時のことを思い出したのかテンションが上がり始めた辰臣に颯太は心の中で苦笑を浮かべた。この友人は、自分よりも年上なのに反応がとにかく素直で、見ていて面白いのだ。
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