心がささやいている
「どうしたの?大丈夫?…怖くないよ」
怖がらせないように、そっと両手を伸ばして子犬を抱え上げると。抵抗さえされないものの、その震える小さな身体に大きな違和感を覚えた。
「…これは…」
子犬は身体中至るところに細かな傷を負っていた。腫れている部分などは、もしかしたら骨にヒビが入ってしまっているかも知れないと心配になる程に痛々しい状態だった。
(事故にでも遭ったのかな?可哀想に…。それに、このコ飼い主は?いったい何処から…)
子犬の首には細い簡単な首輪らしきものが巻かれていたので飼い犬だと思われたが、周囲にそれらしい人影はなく。犬自身の名前や飼い主に繋がる情報になるものなどは何もなかった。
とりあえず危険な状況と判断した辰臣は、親戚が経営する動物病院へと駆け込み、子犬を診て貰うことにした。
診断の結果は、多くの切り傷と打撲。骨に異常がなかったことは不幸中の幸いだったかも知れない。
その後、辰臣は子犬の傷が癒えるまで自分が世話をすることにした。ただし、飼い主が捜しているかも知れないので、その獣医や知人などに『迷い犬』の情報がないかを呼び掛けて貰いながら。
そうして、子犬の傷もだいぶ癒え掛けていたある日のこと。
辰臣のもとにある情報が入って来た。『子犬を捜している』との張り紙があったと、知人から連絡があったのだ。
「良かったなぁ。これで無事飼い主さんの元に帰れるぞー」
ホッと胸を撫で下ろしながらも。その子犬に愛着が湧き始めてしまっていた頃だったので、少しだけ残念にも思っていた。
怖がらせないように、そっと両手を伸ばして子犬を抱え上げると。抵抗さえされないものの、その震える小さな身体に大きな違和感を覚えた。
「…これは…」
子犬は身体中至るところに細かな傷を負っていた。腫れている部分などは、もしかしたら骨にヒビが入ってしまっているかも知れないと心配になる程に痛々しい状態だった。
(事故にでも遭ったのかな?可哀想に…。それに、このコ飼い主は?いったい何処から…)
子犬の首には細い簡単な首輪らしきものが巻かれていたので飼い犬だと思われたが、周囲にそれらしい人影はなく。犬自身の名前や飼い主に繋がる情報になるものなどは何もなかった。
とりあえず危険な状況と判断した辰臣は、親戚が経営する動物病院へと駆け込み、子犬を診て貰うことにした。
診断の結果は、多くの切り傷と打撲。骨に異常がなかったことは不幸中の幸いだったかも知れない。
その後、辰臣は子犬の傷が癒えるまで自分が世話をすることにした。ただし、飼い主が捜しているかも知れないので、その獣医や知人などに『迷い犬』の情報がないかを呼び掛けて貰いながら。
そうして、子犬の傷もだいぶ癒え掛けていたある日のこと。
辰臣のもとにある情報が入って来た。『子犬を捜している』との張り紙があったと、知人から連絡があったのだ。
「良かったなぁ。これで無事飼い主さんの元に帰れるぞー」
ホッと胸を撫で下ろしながらも。その子犬に愛着が湧き始めてしまっていた頃だったので、少しだけ残念にも思っていた。