ずっとおまえが嫌いだった
第3章 姪、小夜の供述
ふーん、伯母さん死んだんですか。

別に、悲しくないですね。
むしろ、せいせいします。

あの人の話を聞きたい?

あー、聞き込みみたいなもんですか?
事故死だって聞きましたけど…

あ、そう。そういうもんですか。

私は彩也子の娘の小夜です。今年、30。

だから、伯母はもう60くらいだったのかな。 
普通ならまだ、元気な年齢ですけど
階段で足を滑らせるなんて…運が悪い、天罰ですね。
私からすると伯母なんて死んで当然の人間ですよ。

伯母との思い出ですか?

子供の頃から私の家によく来てましたよ。
1度来たら何日も入り浸って帰らないんです。

私の母は1度離婚してるから
中学までは母子家庭だったんですけど
私と母しかいないから、家に押し掛けてたんでしょうね。

なんでって…

ただ飯を食らうためですよ。

あの、伯母と隆士叔父さんって
母子家庭の私の家よりもずっとお金がなくて
その理由も隆士叔父さんがパチンコばかりしてるからでしょうけど…

だから、着るものもボロボロで
伯母も叔父も食い意地がはっててみっともなかったですよ。

おまけに、私は食べるのが遅かったんですけど
伯母は私が食べきるまでずっと私に罵声を浴びせてたんです。

どんな?って…

意味がわからないことですよ。
「こんなに食べるのが遅いと将来ろくな人間にならない」とか
「お前は大人になったら変な男と結婚してシングルマザーだ」とか

ね?意味がわからないでしょ?食事と関係がないじゃないですか。
しかもそのせいで、私は人前でご飯を食べるのが苦手になったんですから。

それに「私をいじめた女と同じ名前だ」とか言われて
二時間くらい意地悪を言われたこともありましたね。

泊まりにきたときも、なぜか私を起こして文句を言ったり…

伯母はなにかの病気なんだって今なら思うけど子供の時は怖くて仕方なかった。
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