100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
 なにせ、一族の七光りですえられた専務の座だ。

 若造と舐められないよう、いつも虚勢を張って、頑張っている。

 自分の評価が下がれば、推薦してくれた曽祖父たちにも申し訳ないからだ。

 そのために、常に勉学に勤いそしんでいた学生時代以上に、自分を厳しく律して生きているのに。

 生きているのに……。

 ……内藤ーっ!

 待てっ。
 あやめを呼んでこいっ。

 今すぐ此処にーっ!
と心の中では絶叫していた。

 だが、そう思いながらも、口には出せない、上司として。

 ……上司としてっ。

 …………上司としてっ、と思いながら、基は内線電話をかけた。

「ああ、浜波か」
とできるだけ落ち着いた声で呼びかける。
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