100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
 でも、そういう照れ屋なところがあるかと思いきや、いきなり、振り切ったように、私でも思いつかないような情熱的な行動に出るびっくりなところが、あやめ様のハートをつかんでいるところかもしれませんね。

 爽やかな朝食の席、
「おはよう」
と言ったきり、基様は黙っています。

 朝はいつもぼんやりしているあやめ様も、
「おはようございます」
と言ったきり、黙々と食べています。

 が、しばらくすると、基様がいきなり口を開きました。

「内藤は例の赤いスポーツカーの女と別れたらしいな」

 あやめ様が困った顔をしています。

 それ、朝から話す話題か?
という顔をなさっています。

「……謝りに行くのが遅かったんじゃないですかね?」

 あやめ様は、基様の次の言葉を待っていらっしゃるようですが。

 そんなもの、始めからないようです。

 基様は、もくもくと朝食を食べていらっしゃいます。
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