旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~
ぼんやりそんなことを考えていると、佑香さんがほんのり頬を赤く染め、はにかみながら言った。
『彼、今月の二十六日が三十歳の誕生日なんですけど……ちょうど日曜日なので、サプライズで素敵なパーティーを企画しようと思っているんです。それで、その時……たっくんとヨリを戻したいってこと、伝えたくって!』
あまりに真剣な顔で力説されたので、一瞬私が告白されたような錯覚を覚えてどぎまぎしてしまった。でも、すぐに我に返った私は、目の前の女性の正体に気がつく。
『あなた、もしかして隆臣との婚約を破棄したっていう……?』
『あ、そうです。……やだな、たっくんが話したんですか? でも、婚約破棄だなんて大したものじゃないんです。ちょっとしたケンカから距離を置くことになっただけで……。でも、離れてみてわかったんです。やっぱり私にはたっくんが必要なんだって』
佑香さんは自分の胸に重ねた両手をあてて、けなげな口調でそう話す。どうやら彼女は隆臣に対して大きな未練があるようだ。
でも、今さらそんなこと言われたってもう、彼は私と……。