旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~

 できるだけ深刻な空気にならないよう、明るい調子で話したつもりなのだけれど、みんなの顔を見渡すと、あまり納得していない様子だ。

「合わないって……結婚する前からあんなに仲の良かった甲殻類コンビが?」

 梢ちゃんが、どこか悔し気に呟く。

「俺たちが目標とする、同期同士のベストカップルだったのに……」

 松下くんもそんな言葉を漏らし、暗い顔をしている。

「や、やだなみんな、そんな悲しまないでよ。……私も正直、まだ心に折り合いのついてない部分はあるけど、依頼されたイベントは全力でやらなきゃ! 隆……じゃなくてエビはこのチームの元リーダーなんだし、誕生日、みんなで祝福してやろうよ、ね?」

 なんとかみんなのやる気を出させようとそう声をかけると、みんな黙って顔を見合わせ、渋々といった感じながら頷いてくれた。

 私はホッと胸をなで下ろし、気を取り直してイベントの(きも)となる、佑香さんが隆臣に愛を告白する最も重要な部分について、メンバー全員からアイデアを募った。

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