旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~
彼女の濡れた舌をつかまえてくすぐるように刺激すれば、理子がか細い声とともに熱い吐息をこぼし、その艶かしさにめまいがした。
ああ……やばい。止まれねえわ、もう。
「……抱きたい」
さっきまで『がっついていると思われたくない』などとすましていた理性はどこかへ行ってしまい、本能が叫んでいる欲求を、そのまま口に出す。
「えっ……?」
「ごめん。もっと余裕のある男のフリしてたかったんだけど……理子に触れてると我慢できなくなる。……お前が欲しくてどうにかなりそう」
まっすぐに理子を見つめ、切実な胸の内を明かす。
思えば、酔った理子を泊まらせたあの夜から、俺はずっとおあずけをくらっていたのだ。そう考えれば、今こうして喉から手が出るほど彼女が欲しくなっているのも、仕方ない気がした。
理子はしばらく黙って迷っているようだったが、やがて不安げに瞳を揺らして俺に問いかける。
「幸せに……して、くれる?」
彼女らしくない、弱気な声音と表情だ。……無理もない。彼女は前の男に一方的に別れを告げられたばかりなのだ。また次の恋もうまくいかなかったら――そう考えて臆病になるのも理解できる。
でも……俺は理子に、そんなつらい思いをさせるつもりはない。