記憶の中の溺愛彼氏
「いいじゃん、無職!俺の理想の職業だぜ!!」

開口一番、冗談とも本気とも言えないアドバイスを樹はドヤ顔で自慢した。

「やっぱりバカ樹だね!」
美亜が呆れた口調で樹をけなす。
「なんだよ、じゃあ専業主婦でいいんじゃね?」
「…俺もそれでいいけど…」
しれっと、翔君もそこに加わる。

「…真剣に考えてよ」
私がそう言うと、三人は真面目に考えてくれるようだった。

美亜は仕事に繋がる資格をとって、もう一度就職活動したらどうかな?といい、樹はアルバイトしたら?と、今出来ることをすればと言った。

翔君は何か閃いたのか、黙って考え込んでいた。
そして、何か決心をしたようだった。

「香奈、決めたよ」

「何?」

「俺の会社に入ればいい」

私は驚いて口を開いたままだった。




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