記憶の中の溺愛彼氏
僅かな沈黙が流れた…

「はは…」
この話は冗談だろうと思って、笑うことにした。
「香奈、俺は本気だけど…?」

翔君は真剣な眼差しでそう言った。

「…でも私、何もできないよ?」

私が心配そうにしていると、「問題ないよ」と言ってくれた。
「皆が大学を卒業したからといって、なんでも最初から出来る訳じゃないから。研修があったり、仕事を教えて貰って、身についていくものだから不安がることはないよ」
「うん…」
「俺がフォローするから大丈夫」

翔君に言われて自分も一歩、前進するしかないと思った。
それに、翔君の何に惹かれて私は付き合ったのか知ってみたい…

「じゃあ翔君!お世話になります、よろしくお願いします!」
「香奈は、会社では翔君と呼ばないように。俺の紹介で入社したことも内緒で。」
「はい!」
「毎朝送っていきたいけど、当分通勤は別々で、俺達の関係は伏せておいた方がいいな」
「分かりました!」


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