記憶の中の溺愛彼氏
仕事は相変わらず忙しい毎日だったけど、翔君はその忙しい仕事の合間に、用事を作っては私の働く部署に顔を出してくれた。

鶯谷グループとの提携事業も見通しが立ち、来年には落ち着く予定だけど、またまだ忙しいらしいから、会社で少し会えると嬉しい。

二人が付き合っていることは、まだ内緒にする予定だ。婚約解消の話や、鶯谷グループの専務の従姉妹さんの噂もあり、そこに私との熱愛話が加わると酷い中傷をされてしまうだろうって…


ちなみに鶯谷専務は従姉妹の秘書さんを引き連れて、翔君に会いにたびたび我が社にやってくる。先輩後輩の繋がりもあり、プライベートも含めての対応になってしまうみたい。

おかげで最近では、会社の噂は更にエスカレートしている。

「ねえ、うちの社長と専務の従姉妹って、結婚間近って聞いたわよ〜ホントかな?イケメン独身王子が減っていくわ〜」

「あの従姉妹って、帰国子女で大学はイギリスの名門大学なんだって!」

「専務の紹介で再会したって話よ」

「もうすでに付き合ってるのかな?」

「我が社にしょっちゅう顔を出しているよね?」

「うちの社長ってイケメンだもの、毎日見たくなるわよ」

「分かる〜」

…知らないフリって意外と疲れるかもしれない
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