愛され秘書の結婚事情*AFTER
そんな夫をクスクス笑いながら見つめ、七緒は一言、「悠臣さんて、カッコ良くて可愛いですね」と言った。
「可愛い? 四十二になるこのオッサンが? 君は本当に変わってるな」
「変わっていませんよ。女にとって好きな男は、幾つになってもずっと可愛いんです」
「そういうものかな」
「そういうものです」
澄まし顔で答えた後で、七緒は悠臣の顔を至近距離で覗き込み、言った。
「私は日本の神様と西洋の神様の両方に、辛い過去も含めて、あなたを愛すると誓いました。だから、時にはこんな日があったっていいんです。フラッシュバックが起きたなら、その時は私があなたを支えますから、安心して下さい」
「七緒……」
ジンと感動した顔で、悠臣は我が妻を見つめた。
いつの間にか陽が沈み、部屋は自動点灯したオレンジの明かりに照らされていた。
「ありがとう……。じゃあ夕御飯のあと、またしてもいい……?」
甘えるような男の言葉に、しかし七緒は笑顔で「ダメです」と即答した。
「明日は悠臣さんのお友達に、ホームパーティーに誘われているでしょう。これ以上調子に乗ると、明日起きられなくなりますよ」
すでに秘書を引退したものの、そのスケジュール遂行への情熱は失われておらず、七緒はキッパリした口調で言った。
「あんまり駄々をこねると、今日は別のベッドで寝ますよ、私」
「えっ! や、それは止めて……」
仰天した悠臣は情けない顔で右手を上げ、「わかった。今日はもう、悪さはしません。大人しく寝ます」と宣誓した。
七緒はクスリと笑い、「はい、そうして下さい」と言った。
上機嫌でシャワールームに消えた彼女を見送り、悠臣はハァと短く息をついた。
「すでにもう、尻に敷かれる未来しか見えない……」
けれどその未来予想図は、けして格好良いものではないものの。
今の自分達を象徴するように、暖かで柔らかな光に縁取られている気がして、彼は「ま、いいか」と呟いた。
そして彼女のびっくりした顔を見るために、自分もいそいそと浴室へと向かった。
その顔は晴れ晴れと明るく、何より誰より、幸福色の輝きに溢れていた。
FIN
「可愛い? 四十二になるこのオッサンが? 君は本当に変わってるな」
「変わっていませんよ。女にとって好きな男は、幾つになってもずっと可愛いんです」
「そういうものかな」
「そういうものです」
澄まし顔で答えた後で、七緒は悠臣の顔を至近距離で覗き込み、言った。
「私は日本の神様と西洋の神様の両方に、辛い過去も含めて、あなたを愛すると誓いました。だから、時にはこんな日があったっていいんです。フラッシュバックが起きたなら、その時は私があなたを支えますから、安心して下さい」
「七緒……」
ジンと感動した顔で、悠臣は我が妻を見つめた。
いつの間にか陽が沈み、部屋は自動点灯したオレンジの明かりに照らされていた。
「ありがとう……。じゃあ夕御飯のあと、またしてもいい……?」
甘えるような男の言葉に、しかし七緒は笑顔で「ダメです」と即答した。
「明日は悠臣さんのお友達に、ホームパーティーに誘われているでしょう。これ以上調子に乗ると、明日起きられなくなりますよ」
すでに秘書を引退したものの、そのスケジュール遂行への情熱は失われておらず、七緒はキッパリした口調で言った。
「あんまり駄々をこねると、今日は別のベッドで寝ますよ、私」
「えっ! や、それは止めて……」
仰天した悠臣は情けない顔で右手を上げ、「わかった。今日はもう、悪さはしません。大人しく寝ます」と宣誓した。
七緒はクスリと笑い、「はい、そうして下さい」と言った。
上機嫌でシャワールームに消えた彼女を見送り、悠臣はハァと短く息をついた。
「すでにもう、尻に敷かれる未来しか見えない……」
けれどその未来予想図は、けして格好良いものではないものの。
今の自分達を象徴するように、暖かで柔らかな光に縁取られている気がして、彼は「ま、いいか」と呟いた。
そして彼女のびっくりした顔を見るために、自分もいそいそと浴室へと向かった。
その顔は晴れ晴れと明るく、何より誰より、幸福色の輝きに溢れていた。
FIN
