【女の事件】とし子の悲劇~2・5世帯のなみだ
第7話
義兄が『おんまくお見合い』の参加を拒否した理由は、出発前に信金の女性の職員さん10人と職場の未婚の男性の従業員さん10人を対等にくじて決めたことが不満だった…と言うことであった。

義兄は、あの日の事件が原因で勤務態度が悪くなった。

8月11日のことであった。

この日、配送センター内でトラブルが発生した。

配送伝票のミスで岡山県に配送する荷物が誤って和歌山県に配送された。

この時、伝票の担当者の女性が8月6日から10日間ほど新婚旅行で休暇中であった。

そのために、引き継ぎでAさんに代理で務めていた。

Aさんは、未婚の男性の従業員さんで、8月2日と3日のおんまくお見合いに参加していた。

その時に、義兄が理想としていた女性がくじ引きでAさんに当たった。

義兄は、Aさんによりし烈なうらみを募らせていた。

問題の伝票は、Aさんがパソコンで入力作業をしていた時に発生した。

この時、Aさんはお腹を壊してトイレへ行ってた。

(Aさんは、昼にギョーザライスを食べた…ギョーザの肉で食あたりを起こした。)

その前に、Aさんは凡ミスをやらかした。

気持ちの焦りが原因で、地域コードをあやまって入力した。

武方さんが伝票のミスのことを聞いて、電話で岡山県の配送先にお詫びした。

しかし、先方さんから契約破棄された。

翌日の朝礼で、Aさんが『ぼくは配送伝票の地域コードを正しく入力したのに…』と泣きそうな声でキュウジョウを訴えた。

それを聞いた義兄が、するどい言葉でAさんを攻撃した。

「フザケルなよ!!オドレは、オレたちをグロウする気か!?」

義兄は、Aさんが傷つく言葉をボロクソに言いまくった。

他の従業員さんたちも、義兄に同調して口々にAさんを口々にバトウした。

『オドレばかりがええ目みたから、鉄拳制裁を喰らったのだよ。』
『オレとあたった女はサイアクだ!!だから一方的に突き放して別れた!!』
『オレも別れたわ!!』

………

イカクされたAさんは『こんな会社やめてやる!!』と怒鳴った後、会社を飛び出した。

その後、彼らはチョーシに乗って大嗤い(おおわらい)をしたりおしりを向けてペンペンするなどエスカレートさせた。

その間、武方さんはAさんの引き留めに出た。

しかし、Aさんは武方さんを突き飛ばしたあと、ワーッと泣き叫びながら走り去った。

Aさんが会社を飛び出したことが原因で、Aさん以外にパソコンができる人がいなくなった。

職場内でAさん以外にパソコンのワード・エクセルの検定資格を保有している従業員さんは、休暇中の女性事務員さんしかいない…

Aさんが飛び出してから3分後に、女性事務員さんがコレクトコールが来た。

女性事務員さんは『アタシ、あと10日休みます…もしかしたら、ハワイに一生居続けるかも…』とヘラヘラ笑いながら武方さんに休暇の延長を申請した。

武方さんは、泣き笑いの表情で『ホーデホーデ…』と言うて、休暇の延長を許可した。

その後、武方さんは大パニックを起こした。

彼らは『武方のバカは今ごろになってオタオタオタオタおたついとんのか…』と言うてチョウショウ(あざわらうこと)しながらおしりを向けてぺんぺんするなどで武方さんをいじりまわした。

そしてまた、次の日の朝のことであった。

Aさんが家出して行方不明になった。

それを聞いた彼らは、行方不明になったAさんを『ザマーミロ』と言うてチョウショウした。

朝礼のあと、従業員さんたちはそれぞれの持ち場についた。

しかし、義兄は武方さんから『桂一郎さんは親会社の工場長室に一緒に行くから、仕事するな!!』と厳しい口調で言われた。

Aさんに対する職場いじめグループのリーダーである義兄は、武方さんと一緒にアサヒビール四国工場内にある工場長室に行く。

工場長室で、査問委員会が行われる。

彼らがAさんを口々になじったことが原因で、Aさんが行方不明になった…

配送伝票の入力する人が不在になった…

四国工場から西日本の各地への商品の配送が数日間ストップした。

応急措置として、関西の二つの工場(西ノ宮と吹田)にストックされている製品で対応を取った。

しかし、いびつな職場いじめが発生したので見過ごすことはできない。

工場長さんは、ひどく怒り狂っている。

シーンは工場長室にて…

武方さんは、四国工場の工場長さんと親会社の役員数人の前で、土下座して謝罪した。

工場長さんは、厳しい口調で武方さんに言うた。

「今回は、西ノ宮と吹田の二つの工場にお願いして、四国地方に配送する分にふりかえて対応した…コラ、キサマは人の話を聞いているのか!?」
「工場長、もうしわけございませんでした。2度と同じようなトラブルが起きないように…全力をあげて…」
「キサマのセリフはもう聞きあきた!!…そういうことで、来年3月31日の満了日を持って契約破棄する!!…以上だ!!」

工場長さんから契約破棄を通告された武方さんは、顔が青ざめた。

それから8日後のことであった。

義兄は、あの日の翌日から会社を無断で欠勤した。

同時に、武方さんが経営している会社が深刻な危機におちいった。

この数日の間に、従業員さんが次々とやめていた。

8月22日のことであった。

この日、新たに3~4人がやめた。

3~4人の従業員さんは、おんまくお見合いで出会った信金の女性の職員さんと別れた。

別れた原因は、彼らの自己都合であった。

武方さんは『やめないでくれ!!やめないでくれ!!』と泣きながら彼らの引き止めに出た。

しかし、次々と失敗した。

8月24日のことであった。

武方さんが壬生川の家にやって来た。

武方さんは、義兄に対して『会社に残ってくれ…』と言うて説得した。

「桂一郎さん、この通りだ!!会社に残ってくれぇ~…おととい3~4人の従業員さんがやめたので、極度の人手不足におちいった…頼む!!この通りだ!!」

武方さんの言葉に対して、義兄はとがった声で武方さんに言い返した。

「ふざけんなよ虫ケラ野郎!!何が会社に残ってくれだ!!」

義兄の言葉に対して、武方さんはこう言うた。

「桂一郎さん!!会社は、人手が足りないので困っているんだよ!!」
「ふざけんなよ虫ケラ!!ごほうびごほうびごほうび…手当てを出しますと言うてウソついて、1円も手当てを出さなかった…オレはあんたをうらみ通すからな!!帰れ!!帰れといよんのが聞こえんのかピンハネ魔!!」

義兄は、力で武方さんを家から引きずり出した。

家の前の通りにて…

義兄は、武方さんをボコボコにどつきまわした。

「ふざけんなよ虫ケラ野郎!!」
「なにするんだ!!」
「帰れといよんのが聞こえんのか虫ケラピンハネ魔!!」
「桂一郎さん!!うちの会社をやめたら他に行く会社はどこにもないのだよ!!桂一郎さんが働けるか会社はうちの会社しかないのだよ!!」
「そのようにしたのはあんただ!!オレはあんたに雇ってくださいなんて頼んだおぼえはない!!ふざけるな虫ケラピンハネカイゴロシ魔!!」
「ワアアアア!!」

(ドボーン!!)

義兄に突き飛ばされた武方さんは、どぶ川へ落ちた。

武方さんは、全身泥だらけになった。

(カチャカチャ…)

義兄は、ズボンのベルトをゆるめた。

家の中にて…

アタシは、冷めた目つきで外の様子をながめていた。

「なにするんだやめろ!!やめろ!!」

武方さんは、必死にさけんでいた。

怒り狂った義兄は、どぶ川へ落ちた武方さんを何らかの形でトドメを刺した。

ブザマね…

悪いことばかりしよったけん、反撃を喰らったのよ…

どぶ川へ落ちて、いい気味だわ…

そして、8月24日のことであった。

西条市旦之上にある大明神池の付近で、Aさんがおそろしい覆面をかぶって派手なシャツを着た男に刃渡りのするどいナイフで襲撃されて亡くなった事件が発生した。

Aさんは、8月13日頃に家出して行方不明になった。

家族が警察署に捜索願いを出した。

Aさんは、ひとりぼっちで大明神池に来た。

その時に、おそろしい覆面をかぶった男から襲撃を喰らった。

容疑者の男の身元判明につながる物的証拠がとぼしいので、ケーサツの捜査は難航するようだ。

8月25日のことであった。

あいつの家で暮らすことに限界を感じたアタシは、家出すると決意した。

アタシは、クローゼットから自分の衣服とメイク道具を全部取り出して、ボストンバッグに詰めた。

これ以上、ここにいたらアタシは殺されてしまう…

荷造りが終えたアタシは、ボストンバックと赤茶色のバッグを持って家出した。

家出したアタシは、新居浜のデリヘル店の個室の待機部屋で仮暮らしをする。

この時、義父は台所でグデングデンに酔ったあと大きないびきをかいて寝ている。

義兄は、前夜から帰宅していない。

義弟も、帰宅していない。

家出したアタシは、丹原の商店街の裏手にある借家へ行った。

借家に着いた時であった。

借家の住人全員が家財道具を次々と運送屋さんのトラックに積み込んでいる様子を見た。

一体何があったのか…

アタシは、大家さんに聞いた。

大家さんは『借家は不動産屋に売った。』とアタシに言うた。

もしかしたら、あのレイプ殺人事件が原因だと思う。

7月4日に発生したレイプ殺人事件が原因で、住民のみなさまが賃貸契約を破棄してよそへ出ていった。

同時に、大家さん自身もしんどくなったので建物ごと敷地を売却した。

…と言うことか

それから3分後に、アタシはボストンバックと赤茶色のバッグを持って借家から出た。

この日は、フジグランのバイトはお休みである。

午後のサークルKのお仕事のあと、夜のデリヘル店のお仕事に行く予定である。

そんな時であった。

アタシがバイトしているサークルKに、武方さんが泣きそうな表情でやって来た。

武方さんは『従業員さんが二人やめたので、会社がつぶれてしまう…』と女々しい声でアタシに言うた。

アタシは、新しく来たお弁当を陳列ケースにならべながら武方さんに言うた。

「あのね!!アタシは今バイト中よ!!あんたの泣き言を聞いてるヒマは1秒もないのよ!!お願いだから帰ってよ!!」
「としこさん、こっちはすごく困っているんだよぉ…会社は人手不足におちいっているのだよぉ…配送の伝票をパソコンで入力できるひとがいなくなったので、配送センターの業務が止まった…親会社との契約を破棄されたので、困っているんだよぉ…」

武方さんが女々しい声で言うたので、アタシは思い切りキレた。

「あんたね!!アタシに助けてくださいと言うけど、アタシにどうしてほしいのよ!?本来パソコンで配送伝票を作る女性従業員さんはどうしたのよ!?」
「B子さん(女性事務員さん)がハワイに移住するのでやめると言うた…」
「あんた方の会社の従業員さんたちはナマクラばかりいるわねぇ…なんなのかしら一体もう!!」
「とし子さん…」
「はぐいたらしい男ね!!アタシにどうしてほしいのよ!?」
「どうしてほしいって…」
「パソコンで伝票を作る人がいないのであれば、新規の人を雇いなさいよ!!」
「とし子さんお願いです…としこさんから桂一郎さんに会社に戻ってきてほしいと説得してください…この通り…」

武方さんは、ヘラヘラした表情で両手を合わせてアタシに助けてくれと言うた。

アタシは、『チッ』と舌打ちしてから武方さんに言うた。

「あんたね、今日のいまごろまでの間に何人の従業員さんがやめたのか…数えなさいよ。」

武方さんは、ムッとした表情でアタシに言うた。

「さっき、私に舌打ちしたねぇ…私に舌打ちしたねといよんのが聞こえんのか!?」
「はぐいたらしいわね!!ピンハネカイゴロシ魔!!あんたのおとうさまの代の時は従業員さんがたくさんいた…あんたが会社を継いだ直後に従業員さんが次から次へとやめた…経費節約だと言うて、従業員さんたちに痛みを押し付けた…ふざけんなよ虫ケラピンハネカイゴロシ魔!!」
「だーまーれ!!それ以上言うな!!だまれと言うたらだまれ!!」
「店内で怒号をあげるのであれば知人の男(元格闘家の男)を呼ぶわよ!!あんたの能なしが原因で配送業務がストップした!!それは委託先を間違えたからそのようになったのでしょ!!」
「だまれといよんのが聞こえんのか!?」
「もう怒ったわよ!!あと5分以内に店から出ないと知人の男を呼ぶわよ!!」
「だまれ!!だまれ!!だまれ!!」

武方さんは、し烈な声でアタシに『だまれ!!』と連呼した。

この時、数人の男性従業員さんがやって来た。

「コラクソジジイ!!」
「よくもうちの女性店員にてぇつけたな!!」

男性従業員さんたちは、武方さんを引きずり出そうとした。

しかし、武方さんが男性従業員さんを突き飛ばした。

「もう怒ったぞ!!」

男性従業員さんたちは、制服の上を脱いだあと上着を床にたたきつけた。

男性従業員さんたちの背中に、龍のうろこの刺青が彫られていた。

「コラクソジジイ!!」
「どついたろかワレ!!」

武方さんは、男性従業員さんたちからボコボコにどつき回された。

その間に、アタシはロッカールームへ逃げ込んだ。

ロッカールームにて…

制服の上を脱いだアタシは、グレーのTシャツを脱いでロッカーに叩きつけた。

Tシャツの中から、ココア色のユニクロワイヤレス3Dブラがあらわになった。

ロッカーのとびらを開けたアタシは、とびらについている鏡にアタシの表情をうつした。

鏡にうつるアタシの表情は、悲しげな表情をしていた。

アタシはキーッとなってほがそ(ボサボサ)の髪の毛をグシャグシャにかきむしった。

(ブチッ!!)

そして、ブラジャーをちぎって、ロッカーに強く叩きつけた。

ペタンとその場に座り込んだアタシは、声をあげて泣いた。
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