いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


「……耐えられない、お前にこうやって触るのも」

俯いた坪井の頭が、真衣香の肩に乗せられた。
感じる重み。悔しいけれど嫌悪感を感じることが、できない。

「抱きしめるのも、全部俺じゃないと嫌だって……、なんで、こんなこと思うなんて」

独り言のように繰り返される言葉の意味を知りたくて。
真衣香は肩に押し付けられている坪井の顔を覗き込もうと、もぞもぞ動いた。
すると、まるでそれを合図にしたかのように後頭部を掴まれる。
くしゃり、と髪の毛が乱される音を聞いた。

坪井の胸に顔を押しつけられ息苦しさを覚えた直後だ。
顎に手を添えられ上を向かされる。

腰には手を回され、背中には壁。
囲まれているような圧迫感。

ゆっくりと、顔が近づいて、吐息が触れて。
唇が押しつけられるまではゆっくりと、まるでスローモーションのように真衣香の瞳に映像が流れた。

しかし。

「ん、んん……、やっ」

いざ唇が触れ合うと、まるで貪るように乱暴なキス。
何度も深く、そして角度を変えて繰り返される。
嫌がり、顔を背けては、押さえつけられ動きを制される。

身動きが取れない恐ろしさと、彼のキスを受け入れようとする自分が相反して闘っているように思えて、真衣香の頭は混乱していた。

「や、坪井く……、んっ、やだ」

何度訴えても力は緩まらず。狭い給湯室に、ついには水音が響く。それが絡み合う舌から溢れ出るものだと理解してしまったなら、真衣香の背筋に刺激が走った。

ガクリ、と力が抜け膝が折れた。
それを抱えるように抱きとめた坪井が、真衣香の身体を掻き抱く。

「ごめん……立花、ごめん……」

真衣香は息を整えながら、その声を聞いた。

「俺、お前のこと大好きだ」


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