いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
また、坪井にとっても真衣香との日々は予想外の連続だった。
まず"予想外"には慣れていない。
なぜなら、いつも相手の行動を予測して先回り、自分に都合がいいよう物事を運ばせようとする癖があるから。
だから。もちろん、真衣香の行動もある程度予想していたつもりだった。
あの、小野原との一件。
小野原には、真衣香の存在を敢えて隠さなかった。
必ず小野原は"自分よりも格下"だと認識している真衣香を疎ましく感じ、行動に出るはずだった。
だから、真衣香が逃げ出す前提で予測した。
。
(好意だって何だって、利用して楽に物事が進むなら存分に使えばいい)
そんな考えのもと。真衣香が、慣れない剥き出しの敵意に傷ついてたら優しくフォローして。そつなく別れようと頭の中では描いていたのに。
(色々舐めてたなー、俺、ほんとバカだ)
まず、いちばんに。
実は冷静でなかったようで、予測が浅はかだった。小野原には思ったよりも実害のある方法を取られた為、高柳には睨まれる羽目になったし。
更には全てを見透かしていたかのように、真衣香に狙いをつけた高柳を決して敵に回したくないと感じた……というオチ付きだ。
そして実際に高柳に呼び出され、泣き腫らしたような真衣香の目を見て。カッと頭が熱くなった。感情のコントロールが効かなくなっていたように思う。
利用しようとしたくせに、小野原に怒りをぶつける始末だったから。
しかし、それよりもさらに驚いたこと。
最後に小野原から笑顔を引き出した真衣香の強さ。
丸く納めるとはまさに、この事だ。
華奢で弱々しくて、守ってやりたくなるような女だと思っていたのに。それを可愛らしく思い、またそれが、興味のもとでもあり、関係を持っても適当にやり過ごせると思った理由だったから。
けれど真衣香は、その実、守られるような女ではなかったようだ。
迷い悩んでばかりの自分を疎んでいたが、それは裏を返せば己の短所から目を逸らしていないということ。
(まるで、俺とは正反対)
物静かに、決して声を荒げることも主張することもないけれど。例えるならその場にしっかりと根を張る生き方をしている。