いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「まあ君は、永遠に気付きそうにはないですけれど。暴き、捩じ伏せて、依存させる恋愛は愉快だとは思いませんか」
「ちょ、ちょっと、ごめんなさい。よくわからないのですが……」
ちっとも愉快だとは思えない単語に顔を引き攣らせていると。微笑んでいた高柳の瞳が開かれて、そんな真衣香を映す。
「なるほど、怯えた顔は可愛らしいですね。ああ、気付かないだろうと前置きしたので、わからなくても全く問題ありませんよ」
「……は、はい」
「そういった楽しみ方をしているのか、いないのか。単純に興味があっただけです」
その後、暫く無言が続いてしまい、居心地の悪い真衣香は何か動いていたくて。小皿にサラダを取り分け高柳の方にもそれを置いた。
「ありがとうございます」と、声がしたけれど、顔を上げることはできなかった。
しかし次に聞こえてきた声は、少し違った。
「立花さんが認識していたものが、ごく一部だったとは、思いませんか?」
だから、思わず上を向いてしまう。
これまでを機械的だと例えるのであれば。確かに何らかの感情を含むものに変化していたから。
「……え?一部、ですか?」
「そうですね、一部です。人間には他人に、敢えて見せていたい角度がありますから」
高柳と会話したことは少ないが……彼の言い回しは、いつもどこか難しく、考えるよう仕向けられている気さえする。
そうであるならば理解したいのだけれど、高柳は真衣香の反応を待たずに、話を続けてしまう。
「俺は自分の損得でしか動かない人間ですが、あれは少し違うとは思います」
「……坪井くんのことですか?」
聞くけれど、高柳は肯定も否定もしない。
「暴いてみたいと、君が思ってくれるように願ってますよ……と、ここまでですね」
「え?」
ここまで、と。袖口からチラリと覗く、シルバーの腕時計を見て唐突に言った高柳は、料理に手をつけ始めた。