いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


「一見人当たりが良さそうでいて、実際には他人の感情を思うように動かして、利用してるだけですからね。しかし中途半端なのですから本当に滑稽です」
「えっと……?」
「使うだけならば便利なんですが、育てようと思うと話は別で」

相槌さえも何が正解なのかわからず、また正体のわからない恐怖心とで。
真衣香はひたすらに高柳を見ていることしかできないでいた。

前にこうして話した時は、小野原の一件で呼び出された時だった。
立場的に恐れていても当たり前だったし、疑問もなかったが。やはり、高柳という人物そのものが真衣香は怖いようだ。

「中間管理職は、経ていけなければならないものですが。まあ、その時点で坪井は無理でしょうね、今のままだと」
「そ、それは……えっと」
「どれだけ有能でも、人がついて来なければ意味がないのでね」

高柳の言葉から意図が掴めないので、返す言葉も見つからないまま。焦る真衣香に救いの手は訪れた。
「お待たせいたしました」の声により、会話は一旦途切れてくれたから。

見れば、続々と注文していた料理が運ばれてきて。テーブルの上を埋め尽くしていく。

アボカドとマグロサラダ。菜の花とトマトソースのピザ。野菜スティックや綺麗に盛り付けられたローストビーフの大皿。暖かそうに湯気がたっているスープもあった。

高柳が「どうぞ食べてください」と料理を指したが。しかし真衣香は軽く頷くだけで、どうにもフォークやお箸に手を伸ばす気分にはなれなかった。

(お、おいしそうなんだけどな……なんか、お腹空かないよね。さすがに……)

代わりに、料理と同時に運んできてもらったスムージーに手を伸ばす。
爽やかな甘味が口の中で広がり、ホッとしたのも束の間。

「君は、坪井のどこに惹かれていたんでしょうか」

その一言で、急激に口の中の甘味が消えてゆく。と、いうのは大袈裟かもしれないが。味を感じる余裕がなくなってしまったのだ。
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