いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


か細く、震える声は必死に涙を堪えているように聞こえる。真衣香はそんな時の心情を嫌というほどに知っているし、さっきだって味わったばかりだ。

「お前……マジで言ってんのか、何考えてんだよ喧嘩売ってんのか!?」
「そうですよ!喧嘩売ってるんです!川口さんが困ればいいと思ったんですよ!」

真衣香に掴みかかってきた時と同じ勢いで川口が笹尾に向かった。けれど彼女は怯むどころか、俯いていた顔を上げてハッキリと叫んだのだ。

「立花さんも、困ればいいと思ったんです……!川口さんに罵られたらいいと思った」

更に真衣香にも悲痛な声を向けた後、その場にしゃがみ込んでしまった。

「はあ?おい、マジでふざけんなよ、泣きたいのはこっちだっての!お前何しに会社来てんだよ?邪魔したいだけなら来るなよ、帰れ!」

川口がしゃがみ込む笹尾を無理矢理引っ張り、立ち上がらせようとしている。
その様子を眺める坪井が、ダルそうに大きく息を吐く。
そして「あー、ダメだな、こりゃ」と呟やいて、一歩踏み出したが。

それよりも早く、笹尾のもとに走り寄ったのは、真衣香だった。

「は、離してください……!」

自らもしゃがみ込み、手を払い除け、川口から庇うように抱き寄せる。
しかし彼への恐怖心のためか、小さく聞き取りにくい声しか出せない。

「はあ?あんたも何?声ちっさすぎて聞こえないけど」

見下ろされ、凄まれて。一瞬言葉に詰まるが。唇を噛み締めた後、息を吸い込み、次はハッキリと言い切った。

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