いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
刺々しい声を出しながら、グラスに残るカクテルを飲み干した。まだ氷が残ったままだ。
セット代に含まれてるドリンクだけで帰ろうとするのは初めてだな、と。空になったグラスを何となく眺めながら静かに置いた。
「……お前、そんなことにも気がつけるようになったのか……奇跡だろ、すげぇ。名前もわかんないけど美女すげぇ」
「は?」
「昔は勉強だってさ、今は見てねぇけど多分仕事もさ。お前って要領よくやんのに、女を傷つけないような気遣いはできたことないだろ……」
感動した!と、大袈裟な声に、馬鹿にされているような気になって少しばかり腹が立った。
「別に、俺は……わかんないままだよ、女の気持ちなんて。お前が言うところの価値観も多分変わってないよ、あいつにされたら嫌なことをベースにしてるだけで」
頭を掻きながらテンション低く答えると、隼人がガシッと肩を組んできた。何でこんな場所で男と肩を組んでいるのか、まわりから見れば異様な光景だろうけど。
「なんだよ、お前だけピュア路線行くつもりかよ!」
「はあ? ピュアって……気持ち悪いな。意味わかんないけど、俺に合わせてないで好きにナンパしてこいよ」
ジト目の隼人に、しっしっと追い払うジェスチャーを見せる。しかし酔った隼人は少々気持ち悪かった。全く離れようとしないものだから鳥肌が立ちそうになる。
「くーー! 俺もそろそろ本気で恋してぇなぁ……なあなあ、お前に好きな子いるってのがマジならさ、俺って夏美ちゃん狙ってもいい感じか!?」
物凄い力で肩を組んだまま、グイグイと顔を近付けて隼人が言う。いつこの男の中で咲山がそんな存在になったのかは全くわからないが、許可を取られる間柄でもない。
「……いや、まあ、それは勝手にすればいーんじゃないの。俺は関係ないよ」
「一応元カノだろ。へっ、涼太くんは〜、モテモテですので〜、あんな美人でも本気じゃなかったかもしれねーっすけどぉ」
ネチネチした声で、更に顔を近付けてくる。少し触れてしまった肌から髭の感触を感じ、気持ち悪さのあまり思い切り隼人の顔面を押し返す。
「付き合ってたのは1年以上前だって」
「切ったのはつい最近だろ、この女泣かせが……! つーか痛ぇよ、手加減しろ」