いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「言っても俺らまだ3年目じゃん? わからないならこれから覚えればいいだろ」
「……うん」
「あれが足りない、これが無い。 エアコン調子悪いな、大きな会議のセッティング。 急な来客時の対応も担当が来るまでの繋ぎも」
頰に触れてた手が、ギュッと太ももの上で握りしめてた真衣香の手を包んでくれる。
「社内イベントの企画も運営も、業者で行き届いてない掃除もお前がやらなきゃ誰がやるの?」
「そ、れは……特にいなくても誰でもできることで」
「違うよ」
卑屈な真衣香をピシャリと黙らせる強い声。
なんて強い声なんだろう。
優しいのに真っ直ぐ、強く強く心に届く声。
嘘じゃないってわかる声。
「みんな、立花の仕事を簡単だ、誰でもできる便利屋って言ってる。 お前も聞いてるんでしょ」
「そりゃ……、もちろん、聞いてるよ」
恥ずかしくなって、俯く顔を逃がさないとばかりに覗き込む坪井。 吐息が唇にかかる。
「でもみんな、咄嗟に自分で何もしない。 できない、お前がいてくれるから頼んで、自分の仕事に時間かけれる」
「……っ、そう、なのかな」
「うん。 今の立花が自信持てない部分と、仕事内容は別。 総務の立花真衣香はもっと自信持つべだから。みんな困ったら総務に行こって、お前の顔思い出してんだって」
固く握りしめた拳を包みながら、ゆっくりと指に触れ緊張を解いてく。
力が抜けた真衣香の手。
その指を、自分の指と絡めながら握りしめた。
感じる体温が、泣きそうなほどに暖かい。
視界が滲んでしまいそうだ、と真衣香は目を閉じた。
(見下されてると思ってたんだ、私)