いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


「そっちの言うとおり二人で会う、一度きりな。それで話つけるよ、何かあるんならね」

優里がもたもたとした手つきでバッグの中に手を入れてオレンジ色のケースに収められたスマホを取り出す。

「俺が青木の連絡先聞いとけばいいの? そっちに俺の教えればいい?」
「どっち……でも」

口ごもる優里の様子に気がついているものの、坪井は特に気にする素振りも見せずに、あっさりと答えを出した。

「あ、そ。じゃあ青木の連絡先教えて。優里ちゃんの連絡先はあんまり聞きたくないし」
「え、どうして……」

坪井の気迫にポカンとしたまま優里が聞いた。
会社の前まで乗り込んできた時の気迫など今は微塵も感じられない。
「どうしてってさぁ」と、坪井はそんな優里に無表情ながらも冷ややかな視線を送った。

「仮にも、あいつの友達なんでしょ?」
「か、仮にもって……!ちゃんと、友達だよ!」
「どうだろ? 優里ちゃんのやってることってさ、友達がやっていいことじゃないよ」

やっと大きな声を出した優里だったが坪井の言葉を聞き、すぐにぐっと唇を引き結んで悔しそうな表情を見せた。

「ま、優里ちゃんが、今後何か俺に用があるなら立花通してよ」

坪井が、当たり前だろ?と。そんな視線をれば優里は不安そうに眉を下げ、首を横に振った。

「それは……、真衣香には今回のことは黙ってたいから、できたら……」

この後に及んでまだ言うのかと、坪井は優里にも聞こえるようにわざと大きなため息をつく。

「黙ってられるわけないだろ? 優里ちゃんさ、ここまで好き勝手言ってるんだよ、もちろん俺の条件も聞かなきゃダメだよな?」

首を傾げ、優里を睨みつける。

「条件……って」
「俺、あいつにはもう嘘つけないんだよね、約束したから」
「そう……なんだ」

曖昧に頷いた優里を見て、坪井は更に言葉を続ける。

「あいつには前もって全部話す。その上で、あいつがしたいようにさせて。それがこっちからの条件だよ」
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