いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

 
坪井の友人たちの中でも、特に仲がいいのだという隼人。しかし、あんなに真剣に画面をのぞき込むなど、芹那の件とは別のところで何かあるのだろうか?

考えていることを隠すことが基本的にできない真衣香だ。
坪井相手に疑問はもちろん筒抜けで。
すぐに答えをくれた。

「あいつってあれで顔が広いし、人付き合いもいいから。青木と今も繋がりある奴、知ってるかなって。ちょっと色々確認してもらってた」
「色々?」
「うん。まぁ、何も知らずに挑むよりね」

心に深く根付く初恋の相手とのデートを、挑むと表現する坪井に真衣香は驚くほどの安心をもらった。
たったの一言なのだけれど、甘い表現がないことはこんなにも大きなことなのか。

真衣香の顎に触れていた指が離れて、デスクに置かれているスマホを指差す。

「お前の方はどう? 優里ちゃん」
「……あ、うん。今日の帰りに」

午前中の仕事が大方片付いて、休憩がてらトイレに向かう途中で優里に連絡を入れたなら、ものの数分で返信が返ってきた。優里だって仕事中だろうに。

「坪井くんに連絡しようと思ってたの。優里が……坪井くんも一緒の方がいいならそれでもいいって言うんだけど」
「え、そうなの?」

「意外だなぁ」と小首をかしげる坪井。たった一度会っただけでこれを〝意外〟だと判断するのならば、一体二人で会った昨日、どんな雰囲気で話をしたのだろうかと気になってしまう。

「忙しい?」
「いや、昨日大体片付いてるし多分いけるよ。何時くらいの予定?」
「優里の会社は定時が6時なの。だから早くても夜7時以降かなって……」

今度は会社のスマホを取り出して、画面をタップする。

「あ~、うん。大丈夫、それなら。なるべく早く戻ってそのくらいには上がれるようにしとく」
「そっか、じゃあ言っておくね。あと……」

真衣香が口ごもると、隣に座って、さらに身体を屈めながら顔をのぞき込んで「どうしたの?」と。
まるで真衣香の口から零れ落ちる声をひとつだって逃さないとでもいうように、見つめられる。
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