いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました



*** 

優里とは、お互いの会社のちょうど中間あたりにあるファミレスで会うことになった。

「真衣香……!」

待ち合わせ場所付近に着くと、歩道の植木にもたれ掛かる優里の姿があり、真衣香を見つけるなり駆け寄った。
しかし目の前に立っても目が合わず、軽く咳払いをするだけだ。
少しの沈黙の後、やっと聞こえてきた声は掠れていた。

「き、来てくれてよかった……」

普段は滅多に口ごもらないハキハキとした優里だが、今日は何やら頼りない。
無理もないか……と、真衣香は小さな声で返した。

「私から、連絡したんだしね」
「うん。ありがと」

目を閉じてゆっくりと、そして胸のあたりを押さえながら深く息を吸い込んだ優里。
そんな姿を黙って見ていた坪井が口を開く。

「どうも〜昨日ぶり。俺もいるよ、優里ちゃん」
「……知ってます」
「や、何でいきなり敬語なの?」

軽く笑い声を混じえながら話す坪井に対して、優里の空気は重苦しい。

「と、とりあえず入ろっか?」

真衣香が目の前のファミレスを指すと「そうだね、ごめんごめん」と、すぐに坪井が真衣香の肩を抱く。
 
「優里も、寒いでしょ。早く入ろ?」

歩き出そうとしない優里に振り向き声をかけると、黙ったまま俯いて真衣香たちのうしろを着いてきてくれた。


 
***



「で、何聞けばいいんだろ、立花への言い訳? 謝罪?」

坪井が、そう切り出したのは注文したメニューが揃った後だった。
優里の前にはカルボナーラ。トロリとした、卵の黄身たっぷりのソースは美味しそうだけれど、手をつけようとはせず。

(まあ、そうだよね……こんな空気でなかなか食べようってならないよね)

真衣香はオムライス、坪井はハンバーグセット。

もちろん真衣香も食欲などなく、坪井に言われるがまオーダーしたのだが。
食事に手をつけているのは今のところ坪井だけだ。
どう考えても残すことになりそうで、申し訳なくなった。

「言い訳って……坪井くん」

いや、ご飯のことよりも……と遅れながら、刺々しい声に真衣香は口を挟む。
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