いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


「でも気づいたの。別に私のことを傷つけない人を好きになりたいわけじゃないって」

 肩に触れていた坪井の指がゆっくりと下がって、真衣香の手首に絡みついた。
 かと思えば、手をやんわりと握られる。
 その様子がまるで迷子の子供みたいで、真衣香は、やはりどうしたって坪井を憎みきれない自分を実感してしまう。

「綺麗な恋愛ばっかりじゃないって教えてもらって、それでも、傷つけられても坪井くんと一緒にいたいと思ったの。欲しかったのって画面の向こうに見るようなハッピーエンドじゃなくって、誰かにとっての間違いでも、私にとっての間違いじゃない。そんな未来だったの」

 真衣香の長々とした言葉を受けて。ふう、と。呆れたように息を吐いた芹那は、首を傾げて言った。
 
「で? 真衣香ちゃんは私に何が言いたいのかな?」

 一歩、また一歩と笑顔で歩み寄り真衣香に問う芹那。
 真衣香は、そんな彼女をしっかりと見据えて言葉を探す。

「芹那ちゃんの恋人も、そんなふうに芹那ちゃんを想ってるんじゃないのかな?」
「……な、に言ってるの?」

 真衣香の前で、芹那が初めて動揺を見せた。

「芹那ちゃんのことを好きだと思ってる人なら……芹那ちゃんのしたことに傷つかないわけないよ」
「まぁ、そりゃね」

 傷つけた実感があるのだろう。
 目を伏せて、素っ気なく芹那は、そう声にした。
 
「それでも一緒にいたいって、会いたいって言ってる。そんな人から逃げてる芹那ちゃんって、少し前の坪井くんとそっくりなんだから」


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