これは恋ですか。
序章
例えば、目の前でお茶の入った湯のみをひっくり返してしまったら。


普通なら、まず倒した湯のみを元に戻して、布巾でこぼれたお茶を拭く。


でも、彼は違う。


湯のみからこぼれたお茶の流れをたどり、床に落ちるスピードを見る。
それから、湯のみに入っていたお茶の量を確かめて、メモを取る。
納得いくまで観察する。


それが、研究のキッカケになったりする。


まるで、落ちた林檎で万有引力の法則を発見したニュートンみたい。


いつも、何かを考えている。
彼の生活の全ては研究につながっているんじゃないかと思う。
普通の感覚じゃない。はっきり言って変わり者。

そんな彼の名前は、久我大和(くが やまと)。

彼の研究のモチベーションはただ一つ。

「一条専務の為になる」



その気持ちには、激しく同意しますが、出来れば、あなたの近くにはいたくないです。


せめて、床の絨毯にシミが残る前に、こぼしたお茶を拭かせてください!







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